6年半使ったiPad Air 2をApple Storeでバッテリー交換する

6年半使ったiPad Air 2をApple Storeでバッテリー交換する

2014年10月末の発売直後に購入したiPad Air 2は非常に完成度が高く、Apple Pencilを使うのでなければ2021年4月現在でも十分に使いものになる。ただし、いかんせんバッテリーの保ちがひどいことになったのでバッテリー交換をすることにした。自分で交換してもいいのだが、バッテリー交換費用だけで整備品と交換してくれるという話を聞いて、Apple Storeに持ち込んでみた

6年半使ったiPad Air 2のバッテリー劣化具合は?

2021年4月現在、私の手許には3台のiPadがある。

  1. 2014年10月発売のiPad Air 2 – Wikipedia
  2. 2017年6月発売の12.9インチiPad Pro (第2世代) – Wikipedia
  3. 2019年3月発売のiPad mini (第5世代) – Wikipedia

このうち使用頻度が高いのがiPad miniで、小説を読んだり、なろう小説を読んだり、マンガを片開きで読んだり、Twitterを覗いたり、Webにアクセスしたりと気軽に使っている。

これに対しiPad Proは、画面の広さを活かしてマンガを見開きで読んだり、電子書籍の雑誌を読んだり、仕事でPDF上で校正したり、MadにSideCarで接続してPhotoshopを利用したりするのに使っている。

そんななかでiPad Air 2は薄くて軽くて便利なのだが、先の両者に比べて帯に短かし襷に長しな状態で、ほとんど利用しなくなっている。

利用頻度が減っているのはもうひとつ理由があって、2年ほど前からバッテリーが1時間ほどしか保たなくなってしまい、実質電源コードを繋ぎっ放しでないと利用できなくなったということもある。そのため、昨年はずっと営業車のカーナビとして利用していた。

そんなワケだから、もったいないけれどiPad Air 2はこのままフェイドアウトするのかな、と思っていたところ、家人が適当なタブレットを欲しがったので、これを譲ることにした。

だが、そうなると実際にはどのくらいバッテリーが劣化しているのかが気になる。

iPad Air 2のバッテリー劣化具合を確かめる

iPhone、iPadユーザーならご承知の通り、iPhoneは設定画面でバッテリーの劣化具合を調べることができるが、iPadにはこの機能がない。理由は定かではないが、多分AppleがAppleCare+でサポートする2年の間に、iPadのバッテリーがAppleの定める80%以下へと劣化する可能性が低いためだと思われる。実際、iPadのバッテリーを交換してまで使い込むことはさほど多くないらしい。

iPadのバッテリー画面
iPhoneのバッテリー画面

そんなわけで手許のiPad Air 2はバッテリーが劣化していることに間違いないものの、どの程度劣化してるかはすぐには判明しないのだ。

ところがネットでググッてみたところ、「iPad で「バッテリーの状態」を確認・診断する方法。coconutBattery を活用」という記事が見つかった。これによれば、coconutBattery 3なるMacアプリを使うことでMacBookのバッテリーのみならず、iPadのバッテリーの劣化具合までも調べられるという。

このアプリは元々はiOS用のアプリだったものが、Appleが自前の設定アプリでバッテリー診断を行えるようにするにあたって、AppleによってApple Storeから締め出されたものらしい。そこで、今度はMac Bookのバッテリー診断アプリに切り替え、なおかつライトニングケーブルで繋いだiPadのバッテリーも診断できるようにしたものなのだ。

coconutBattery 3の詳しい使い方は先述のサイトにおまかせするとして、早速このアプリを手に入れて手許のiPad Air 2のバッテリーを診断した。すると、カタログ性能では7,340mAhある満充電時の容量が、4,487mAhと2/3にまで低下している。6年半使ったわりには保っている方と言えなくもないが、交換すべきレベルなのは間違いないだろう。

ちなみにその時一緒に測った、約2年使ってもうじきApple Care+の契約期間が切れるiPad miniは、5,124mAh→4,468mAhと劣化程度は87.2%に留まっていた。これではApple Storeで無料でバッテリー交換してもらうのは難しいだろう(sigh)。

iPad Air 2のバッテリー交換方法

さて、いざiPad Air 2のバッテリーを交換するとなると、取り得る手段は以下の3つとなる。

  1. Apple Storeに持ち込む
  2. 修理屋に持ち込む
  3. 自分で修理する

基本的に上の方ほどコストが高くリスクが低い。以下に詳説する。

Apple Storeに持ち込む

保証期限の切れた Apple 製品の修理サービスを受けるにあるように、2021年4月現在、iPad Air 2は修理を受け付けないオブソリート製品どころか、修理を受け付けない可能性もあるビンテージ製品にも入っていない。つまり、問題なくApple Storeでの修理を受けられるわけだ。

お近くのApple Store – 川崎 – Apple(日本)より

そこで気になるのは実際のバッテリー交換費用だが、iPad の修理 – Apple サポート 公式サイトを見ると、税込で1万1880円とある。ただしバッテリー以外にも問題があると保証対象外修理サービス料金として3万4980円が必要となる。もっとも3万5000円も払うのであれば、現行のiPadを買ってもさほど変わらない。現行のiPadならApple Pencilも使えるようになるから、iPad Air 2にそこまでお金を注ぎ込む意味はない。そこで、もしバッテリー交換だけで済まないようであれば、このiPad Air 2は処分することにした。

ところで1万2000円払えばすぐにiPad Air2を修理してくれるのかと言うと、そうでもないようだ。iPad Pro のバッテリー交換は本体交換になる(in Apple Store) – ケムインフォ・ハックiPadのバッテリー交換は カメラのキタムラよりもAppleストアが安い? – Pleasure!!を見るとわかるように、

  • iPadのバッテリ交換はその場で中を開けてバッテリーを交換するわけではない
  • iPadのバッテリー交換は新品(整備品)交換である
  • 必ずしも同じ物がストアにあるわけではない
  • 在庫がない場合は後日送付、もしくは店頭受け取りとなる

という手順を踏むらしい。

最近の機種ならともかく、ビンテージ落ちが間近なiPad Air 2が店の在庫として置いてあるとは到底思えない。したがって、Apple Storeで修理した場合は、

  1. 料金は1万1800円
  2. 修理に数日かかり、その間iPadが使えない
  3. Apple Storeまでの交通費と移動時間が必要(郵送修理も可能)
  4. 実質は交換なので、バッテリーのみならず中身も整備品にリフレッシュされる

ことになるようだ。

街の修理店に持ち込む

一方、街のiPhone修理店に持ち込んだ場合はどうなるのか。

サイトをざっと当たった限り、料金は8800〜1万2000円ほどかかる感じだ。ただし、店によってはこれにプラスして手数料がかかるという記述もあった。つまり、街の修理店に持ち込んでもApple Storeでのバッテリー交換とさほど金額は変わらないようなのだ。

またiPhoneに比べて数が出ないせいか、iPadの電池交換の際には交換用の電池を取り寄せるために日数が必要だというところも見受けられる。ただし電池が届けばその場で修理が可能なので、実質数時間預けるだけで済む。

なお、こうした修理店で修理すると、以後Apple Storeでの修理は受けられなくなる。

まとめると、

  1. 料金は1万円前後(上下約2000円?)
  2. 依頼後修理まで数日かかるが、実際にiPadが使えないのは数時間
  3. 大抵はApple Storeより近くにある
  4. 今後Appleの修理は受けられなくなる

といったところだ。

自分で修理する

Amazonなどで「iPad Air 2 バッテリー」といった単語で検索すると、2500〜4000円で交換用バッテリーがズラリと出てくる。なかには工具付きのものもあるので、これらを使えば安くバッテリー交換ができる。

ただし、バッテリーの当たり外れが大きい上に、液晶を割ったり、最悪iPadを壊してしまう可能性もある。

どうせ捨てるつもりだと思えたり、電子機器の扱いに慣れているのなら、非常にお得な方法だ。なにしろバッテリーの当たり外れがあると言っても、2回ハズレを引いても3回目に当たりを引けばApple Storeで修理するより安く済むのだ。つまり、

  1. 料金は2500〜4000円と格安
  2. バッテリーが届くまで数日かかるが、バッテリー交換は15分ほどで済む
  3. 移動時間も移動費用もなし
  4. Appleの修理も受けられなくなる上に、ミスるとさらに修理費用がかさむ

ということになる。

Apple Storeへの持ち込み修理を選択

当初は手近なiPhone修理店でのバッテリー交換を企んでいたのだが、Apple Storeでの修理金額と思っていたほどの差がない上、Apple Storeだと整備品との交換になると知って、Apple Storeへの持ち込み修理を選ぶことにした。

iPhone修理店への持ち込みや、自分でのバッテリー交換はiPad Air 2がビンテージ落ち、オブソリート落ちしてからでいいだろうし、その頃にはさすがに使い物にならなくなっている可能性も高いので、そのときになってから考えれば良かろう。

実際にApple Storeに持ち込む

これまでのことを踏まえて、前日に予約の上で実際にApple Storeに6年半落ちのiPad Air 2を持ち込んでみた。

最初は相談するだけ?

予約の時刻にApple Storeを訪れると、ジーニアス(スタッフ)に促されてiPad Air 2のロックを外す。するとジーニアスが彼の持つiPadでiPad Air 2にアクセスして診断アプリを走らせた。その結果、8項目ほどのチェックポイントのなかでバッテリーの項目が赤く表示され、それを見たジーニアスが「ああ、7割方だめになってますね」と伝えてくれた。つまりは3割ほどしか残っていないということだ。

だが、先に記したようにcoconutBatteryでは66%残っていたので、ここで言う3割というのは、50%を越えたラインでの測っているのだろう。確かに、バッテリーの最大容量が50%を切っていてはiPad Air 2を駆動する最低電流も賄えないのかもしれない。

バッテリーこそ真っ赤な表示だったものの、ほかはすべて正常ということでバッテリー交換をすることになったのだが、予想していた通り、バッテリー交換という名前の全体交換になるとのことだった。そして、これもまた予想通りにお店に交換用iPad Air 2の在庫はないとのこと。

そのため、交換用のiPad Air 2が届いたらメールをするので、そのときに改めて手許のiPad Air 2を持ってきてほしいということだった。そして、それまでに画面を壊したりしないようにと強く念を押された。もし交換品を受け取りにきた際にバッテリーのみならず、ほかの修理が必要になっていたら、バッテリー交換ではなく保証外の修理扱いになるので3万4980円かかってしまうというのだ。しかも、その段階既に交換品が送られてきているので、それを拒否することもできないのだという。

そんなワケで、ひとまずはバッテリー不良のiPad Air 2を持ち帰ることになった。

改めて交換品のiPad Air 2を受け取りにいく

Apple Storeでは、交換用のiPad Air 2が届くまで1週間ほど見ておくよう言われたのだが、翌日には交換用iPad Air 2が届いたというメールが来た。その日は都合が悪かったので、さらにその翌日、Apple Storeに行くことにした。

受け取りは予約不要

最初にApple Storeに足を運んでから2日後、改めてiPad Air 2を持ってApple Storeに出向く。先日は要予約だったが、受け取りには予約は不要だった。

Apple Storeに着いて、立っているスタッフにiPad Air 2のバッテリー交換に交換品を受け取りにきたことを伝えると、名前を聞かれてカウンターに誘導された。カウンターに着くと、スタッフが交換用のiPad Air 2を取りにいき、2分ほどで戻ってきたところで、こちらのiPad Air 2の初期化作業を開始する。ただし初期化の確認の「はい」はこちらがタップした。

初期化が始まったところでスタッフは身分証明書として見せた免許証を確認し、交換用のiPad Air 2を渡してきた。渡したiPad Air 2はまだ初期化作業に忙しそうだったが、こちらはバッテリー交換費用の1万1800円を支払って新しいiPad Air 2を持ち帰るのだった。

この間、わずか5分足らずである。なお領収書はメールで受け取ったが、その場で言えば紙の領収書も発行してくれるとのことだった。

かくして2014年10月に9万6984円(税込)で購入したiPad Air 2は、2021年4月に1万1800円(税込)で完全リフレッシュされたのだった。値落ちを考慮しても、これは妥当というか、そこそこお得だったのではなかろうか?

Apple Storeでの古いiPadのバッテリー交換はおすすめ

先に記したように、バッテリー交換の費用で新古品クラスのiPadが入手できることを思うと、Apple StoreでのiPadのバッテリー交換は決して高くない、というよりお得と言えるのではないだろうか。

今回はApple Storeに持ち込みしたが、サポートに連絡して郵送でのバッテリー交換でも同様の対応が望める。ただし、持ち込みならiPadが手許から消えるのはわずか数分だが、郵送だと往復+修理期間の3〜10日が必要となる。特に年末年始やお盆やGW期間は長くなる覚悟が必要だ。

とはいえ、iPadならどんな機種でもApple Storeでバッテリー交換するのがおすすめというワケではない。このメリットを享受するには以下の2つの前提条件が必要だ。

  1. iPadの上位機種であること
  2. iPadにバッテリーの劣化以外の問題がないこと

まず1番目の条件は、そのiPadに1万1800円かけるだけの価値があるか、ということを意味する。2021年4月現在、一番安いiPadなら3万8280円(税込)で購入できる。何世代も前のiPadを1万1800円でリフレッシュしてもメリットはさほど高くない。11万円以上するiPad Pro 12.9インチが1万1800円でリフレッシュされるのとはコストパフォーマンスが違いすぎる。

もちろん、あと2万7000円支払うのを惜しむというのもアリだが、であればさらに金を惜しんで自力修理を選択すべきだろう。

2番目の条件は、もしバッテリー以外に問題があると、バッテリー交換ではなく有償修理になって費用が跳ね上がることを意味する。実際私も1万1800円が3万4980円に跳ね上がると言われていたし、第3〜4世代のiPad Pro 12.9 インチに至っては1万1800円が7万6780円と6.5倍にも修理費用が膨れ上がる。

液晶が割れているならもちろんのこと、iPadに歪みなどがあると自分では気付かないうちに修理が必要になっているかもしれないので注意が必要だ。

だが、以上の条件をクリアしているのなら、間違いなくApple StoreでのiPadのバッテリー交換はおすすめだ。まだ使えると思えるiPadのバッテリーの劣化が進んでいるようなら、Apple Storeでのバッテリー交換を考慮することを強くお勧めする次第だ。