長時間露光で人や車を消すiPhoneアプリのSpectre カメラの使い方をレビューする
- 2020.01.02
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- Application, iPhone, Spectre, アプリ, カメラ, レビュー, 使い方, 長時間露光
2019年のApp Storeのベストアプリが発表された(Apple、App Storeの「Best of 2019」発表、2010年代最後のベストアプリは…… | マイナビニュース)。そのなかでiPhoneのベストアプリとなったSpectreカメラというアプリは、長時間露光で、動いている人や車を消すことができるという面白カメラアプリだ。
私の場合、旅行先で建物を撮ることが多く、その際通行人が邪魔になることが少なくないので、370円(2019年12月末現在)を払って早速利用してみた。まずは論より証拠、百聞は一見に如かずということで、実際にSpectreカメラで人を消す様子を動画でお見せする。
長時間露光をすると、短かい時間しか写っていないものは薄くしか写らないので、最終的には動かないものだけが写っている写真が撮れる。ただし、本来なら三脚などをセットして、カメラ(この場合はiPhone)が動かないようにしなければならないのだが、Spectreカメラを利用するとアプリの方で補正がかかるので、多少手ぶれしても結構補正が利くのだ。
Spectreカメラの使い方
Spectreカメラの使い方は簡単だ。ただ被写体に向けてシャッターを切るだけでいい。ただし、キレイに撮ろうとするなら、それなりのノウハウが必要となる。なにはともあれ、まずはApp Storeで370円を支払ってたSpectreカメラをiPhoneにインストールする。
基本の使い方
Spectreカメラを立ち上げたら、あとは被写体を捉えてシャッターをタップするだけだ。3〜9秒のあいだiPhoneを保持すれば、余計な人や車が消えた長時間露光写真を撮ることができる。
なるべくiPhoneを動かさない
アプリの方で手振れを補正してくれるとはいえ、なるべくiPhoneを動かさないに越したことはない。画面中央に「STABLE」という表記の手振れ表示があるので、この中に示されているiPhoneマークをなるべく動かさいことが、キレイな長時間露光写真を撮る秘訣だ。もちろん三脚が利用できるのであれば、それがベストだ(自撮り棒 Bluetooth セルカ棒 軽量 無線 三脚/一脚兼用)。
長時間露光の露光時間をセット
撮影画面の右下(上図では横位置なので右上)にあるのが露光時間の切り替えダイヤルだ。3秒・5秒・9秒の3段階に切り替えられる。長ければ長いほど動いているものは消えてくれるが、その分手振れによる影響が出易くなる。逆に短かければ手振れの影響は出辛くなるが、動いているものの影が出易くなる。
インカメラとアウトカメラの切り替え
インカメラを使えば、記念撮影の際、自分たちだけ動かないようにすることで、背景で動いている人たちを消すことができる。実質3脚が必要だが、根性で手を延ばして3〜9秒動かないでいるという手も使えなくはない。なお、三脚を離れたところに立てた場合はSiriでシャッターが切れる(ことになっている)ので、いちいちシャッターを押してから走って戻る必要はない。そもそもSpectreカメラにはシャッタータイマーはついていないのだけれども。
露出の変更
右上(上図は横位置なので左上になる)には露出ボタンがある。これをタップして撮影画面の露出を変更できる。
人や車を消す以外でのSpectreカメラでの長時間露光の使い方
Spectreカメラで長時間露光を使うことで、人や車を消す以外にも水の表現や夜景の処理で面白い使い方ができる。
水の表現に利用する
水面の写真を撮ると、こちらが思った以上に水が止まって写るために、撮影時のイメージとは違う写真が撮れてしまうことが少なくない。しかしSpectreカメラデ長時間露光を利用すると、自分が思っていた水のイメージで写真を撮れる確率が上がるのだ。
流れる水の描写を変える
滝や噴水の写真を撮ると水の流れが止まってしまってこちらのイメージとズレることが少なくない。Spectreカメラを利用すると、噴水は噴水らしく、滝は滝らしく撮ることができる。清流を撮ると、また違ったイメージになって面白い。
波紋を抑えて水面の反射を滑らかにする
水面の映り込みを撮ろうとすると、さざ波の波紋で映り込みが歪んでしまうことが多い。かといって、たまたま無風の日にでも出会わないことにはキレイな映り込みを撮影することは難しい。しかし、Spectreカメラで長時間露光をすれば、波紋を抑えた滑らかな映り込みを撮ることができる。
とはいえ、iPhone 11になって標準アプリのカメラのAIがすこぶる優秀になり、ぱっと撮った写真では明白に標準アプリのカメラで撮ったほうがキレイである。ただ、この調子なら2〜3年後にはAppleがSpectreカメラの機能を取り込みそうなので、それはまでは露出をうまく調整したり、Spectreカメラで撮った写真に手を入れるなりして、なんとかしのぐしかないだろう。
車のヘッドライトを美しく表現する
都市の夜景写真では、車のヘッドライトやテールランプを長時間露光で流して撮る、というのもよくある手法だ。Spectreカメラを利用すれば、こうした絵面を簡単に撮影できる。ただし、これも三脚があればなお良い。
Spectreカメラの弱点
ここまで記してきたように、Spectreカメラは2019年のApp Storeのベストアプリに選出されるだけあって、非常に優秀なアプリだ。とはいえ、万能なアプリとは言い難い。
人や車を完全に消せるわけではない
長時間露光写真は、要するに数多くの写真を連続して1枚ずつは薄く焼き付けていって合成する手法だ。そのため、通り過ぎる車や人は消えているわけではなく、薄く写り込んでいる。おかげで、ものによってはぼんやりととはいえ、結構ハッキリと映り込む場合も少なくない。
また撮影方向のX軸、Y軸に動くものは消えるけれども、Z軸の奥行方向に動かれると、かなり人影が残ってしまう。初めの写真で、改札口の辺りが黒ずんで見えるのは、同じ場所を多くの人が奥行き方向に動くため、撮りたい背景部分が改札を通る人に邪魔される確率が高く、その部分をあまり写せなかったからだ。
夜景はiPhone 11のカメラの方が強力
なによりも大きいのは、夜景の処理がiPhone 11の標準アプリと比べると今一つという点だ。
どちらも実際は何十枚、何百枚の写真を合成しているのだが、その合成の勝利は圧倒的にiPhoneの標準カメラアプリの夜景モードが勝っている。
iPhoneの標準カメラアプリの出力は、それはそれで補正かかりすぎでどうかと思わなくもないが、ディテールがまったくわからないSpectreカメラの出力ははるかにマシなのは間違いない。車のヘッドライトを流したい、といった意向がないのであれば、夜景を撮る際には素直にiPhoneの標準カメラアプリを使うことをおすすめする。
解像度がやや落ちる
これも合成の方向性の問題なのだろうが、Spectreカメラで撮った写真はやや解像度が落ちる傾向がある。SNSに載せる分には問題はないのだが、本気で使うつもりがあるなら、三脚は必要だ。「自撮り棒 Bluetooth セルカ棒 軽量 無線 三脚/一脚兼用」のような自撮り棒に三脚が付いたようなものでもいいし、スマホ用のManfrotto(マンフロット)のミニ三脚でもいいから、なるべく三脚を使って撮影すべきだろう。
Spectreカメラは手軽に長時間露光ができるのが最大のメリット
最後にややケチを付けたけれども、Spectreカメラは手軽に長時間露光で撮影できるのが一番のメリットだ。キレイな撮影をするためには三脚を使用すべきだけれども、そうでなくても一応見るに耐える写真が撮れるのは大きい。決して10の写真が撮れるわけではないが、0と1とでは大違いなのだ。370円出してiPhoneのホーム画面の隅っこに入れておく価値は十二分にあるアプリだ。
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