ファンタジーものの人頭(上半身)類を考える

ファンタジーものの人頭(上半身)類を考える

先にファンタジーものに登場する巨大昆虫について考えたが、今度はケンタウロスやアラクネといった人外生物に人間の上半身が付属した生物について考えてみたい。

ケンタウルス Kentaur Kentauros · Pixabayより

本来4脚の馬に人間の上半身がつくと六肢になるワケで、そこがおかしいという指摘は散々されてきた。そのため、例えば『セントールの悩み』では魚類からの進化の段階で生物が六肢になったという設定で四脚+両手のケンタウロスや両手両足+翼の翼人や竜人の存在をアリとしている。逆に言えば、四肢の動物が新たに二肢を得るのはまず無理と考えるべきだろう。

一方、人頭のクモであるアラクネでは話が変わってくる(書肺や気管系を利用しているため前項同様巨大化はムリなのだが、それはさておいて、の考察だ)。

File:Arachne.jpg – Wikimedia Commonsより

クモは昆虫とは異り、頭部と胸部が分離しておらず、八肢を持つ。であれば、8本脚でなおかつ腕を持つアラクネはケンタウロス同様に不自然に思えるかもしれない。しかし、クモの場合は八肢のほかに口のそばに触肢を持っている。近縁種のサソルではそれがハサミと化すのだが、鋏角とも呼ばれるこの器官によってクモは獲物に毒を注入したり交接時に精液を渡したりと、まさに手のような働きをさせている。したがって(万が一)クモが巨大化するのであれば、この触肢が手の役割を果たすようになることはあり得るかもしれない。もっともそれを踏まえて、アウラネが毒手を使ったり、腕を使っての交接をする描写は(どこかで存在するのかもしれないが、少なくともなろうでは)見たことがないのだけれども。

ただ、問題は頭部と胸部が分離していないという点で、ここから頭部が分離して人間の上半身状に立ち上がるようになるか、というのは難しそうだ。もっとも昆虫におけるカマキリのような進化を遂げて頭胸部ごと立ち上がる可能性もないではない。そういった意味では、腕の有無という一点においてのみだが、ケンタウロスよりアラクネのほうがあり得ると言えるかもしれない。

もっともそのためには、なぜ人間状にならなければならないのかの理由づけも必要となる。人間を誘引するための擬態というのはあり得るけれども、その場合は人間食に偏る必要があるワケで、そこまで食性を偏らせる理由を作るのが難しい。確かにほかの動物が人間を専門に狩らない以上、そこはブルーオーシャンなのかもしれないけれども。